Medium Chain Triglycerides(ミディアムチェーントリグリセド)
【中鎖脂肪酸】という意味の頭文字を取って名付けられたMCTオイル。
名前は聞いたことがあるかもしれませんが、そもそもMCTオイルとは何なのかご存知でしょうか。
こちらの記事では、MCTオイルの効果と効率の良い摂り方、注意点についてまとめてみました。
是非最後までご覧ください。
MCTオイルの特徴
MCTオイルとは、100%自然由来の植物油で構成された、中鎖脂肪酸です。
ちなみに、一般的な油(オリーブオイルなど)に含まれるのは長鎖脂肪酸。
中鎖脂肪酸は吸収されやすく、長鎖脂肪酸より4倍の早さでエネルギーとして活用されます。
素早く消化吸収されてエネルギーになるということは、体脂肪として蓄積されにくいだけでなく、胃腸機能の弱い人や、エネルギー不足を感じ疲れやすい人に最適なのです。
キーとなるのは【ケトン体!】
MCTオイルを語る上で外せないのがケトン体。
そもそも私たちの体を構成しているさまざまな器官が正常に動くためには、エネルギーが必要です。
このエネルギーには、
糖質から分解されるブドウ糖と、
脂質から分解されるケトン体の二種類があります。
ケトン体は体内の糖質が不足したときに、体脂肪から作られるエネルギー物質。
ブドウ糖に代わって脳の第二のエネルギー源になります。
手短に言えば、
エネルギーだけを効率よく得ることができて、体脂肪として蓄積されにくいのがケトン体。
MCTオイルはこのケトン体を、一般的な油より10倍も多く生成します。
他にもエネルギーを作るミトコンドリアの働きを向上させ、数も増やすと言われています。
MCTオイルの効果と効能
それでは具体的に、MCTオイルの利点について見ていきましょう。
脂肪燃焼・ダイエットサポート
先述した通り、ケトン体の材料は体脂肪。
MCTオイルを摂取することでケトン体が生成されると、余分な脂肪がエネルギーとして燃焼されます。
効果が体感できる期間は、1〜3ヶ月程度と言われています。
認知症の予防・改善
【血液脳関門】という言葉をご存知でしょうか?
血液からの病原体や有害物質の侵入に対するバリア機能で、いわゆる脳のセキュリティです。
ブドウ糖とケトン体に関しては、血液脳関門を通過することが可能なため、脳のエネルギー源となります。
しかし、アルツハイマー型認知症になると、脳はブドウ糖をエネルギー源としてうまく使えない状態になります。(エネルギー不足になると、更に認知症が進行してしまいます。)
ところが、MCTオイルを摂取することでケトン体の生成を促し、脳のエネルギー不足を補うと、脳の機能不全や認知症の進行を抑制する効果が期待できるのです。
早ければ数週間で体感できる方もいらっしゃいますが、数年かかるなど個人差はあります。
抗ガン作用
MCTオイルが、いよいよガン細胞までもを直接攻撃する可能性が示唆されています。
実際にステージ4の患者さんにMCTオイルを摂ってもらったところ、生存率がアップしたという報告も見られているのです。
現在では積極的にケトン食を取り入れるようになっています。
抗菌作用
腸内環境の悪化や消化吸収不良、悪玉菌が多いと人は疲れやすくなります。
これに対してMCTオイルは、独自の作用で腸管内の感染を抑制し、腸管機能を助けることが可能なのです。
持久力アップ
私たちのエネルギー源である糖質と脂質。
体内に蓄えられる量を比較してみると、糖質は約400gなのに対して、脂質(体脂肪)に関しては数kgです。
脂質をエネルギー源として利用しやすい体質(ケトン体回路)に変化させると、体内にある数kgの脂質からエネルギーを生成することが可能になります。
要するに、糖質をメインエネルギーとした場合よりも、運動し続けられる時間が長くなり、疲れにくい体質に変化するのです。
更には長鎖脂肪酸を継続的に摂ったときと比べて、血中の乳酸濃度が低くなるということも運動試験を用いた研究で判明しています。
糖質制限も同時に行うと、2週間程で効果が体感できるでしょう。
活動し始める30分前に摂取することで、集中力のアップも期待できます。
肌トラブル・アトピーの解消
糖質を多く摂っている人は、炎症を引き起こすタイプのマクロファージが優位となります。
反対にケトン体には、抗炎症・抗アレルギー・抗糖化作用があります。
こちらも糖質制限と並行し、ケトン体回路に切り替えることで効果を体感しやすく、1ヶ月〜数ヶ月が目安とされています。
よりいっそう効果を発揮させる方法
このように沢山のメリットがあるMCTオイルですが、ただ摂るだけでは十分に発揮されません。
既に述べたとおり、ケトン体回路に切り替えることで、多くの効果が期待されます。
ケトン体は、体内から糖質が枯渇したタイミングで生成されます。
そのため、意図的に枯渇させるために糖質制限を行いましょう。
※糖質制限とは…米や小麦などの穀類や芋類に含まれる糖質を制限し、タンパク質や脂質を多く摂る食事法のこと
この糖質制限を行うだけでも、体内でケトン体自体は作り出されます。
しかしながら、同時にMCTオイルを摂り入れることでケトン体回路に切り替わりやすくなり、生成も促進してくれるのです。
良質なMCTオイルを選ぶポイント
昨今、MCTブームに乗じて品質の低いものが出回るようになってきました。
高品質なものは、ココナッツ由来の中鎖脂肪酸100%で、ナチュラル製法のもの。
これは、蒸留して精製するため時間がかかり、金額も高くなりますが、安心して摂り入れられる原料です。
他には、
- 中鎖脂肪酸のうち、C8(カプリル酸)・C10(カプリ酸)を使用している
- 化学溶剤を使っていない
- 加熱処理していない(低温圧搾の製法である)
- プラスチック容器でない
- 国内で重鎮されている
以上が良質なMCTオイルであるとされています。
摂取する際の注意点
それでは最後に、注意点をご紹介します。
プラスチック容器で利用しない
MCTオイルには、カップ麺や納豆の容器、コンビニのコーヒーの蓋などのプラスチック容器に触れると、構造内に入り込み容器を縮めたり変形させてしまう性質があります。
プラスチックの化学物質、BPA(ビスフェノールA)がオイルの中に溶け出してしまう可能性もあるため、十分に注意が必要です。
MCTオイルは酸化しづらい油ですが、遮光性の瓶タイプのものを選びましょう。
あくまでも油
カロリーオーバーを招くともちろん太りますし、エネルギーとして消費されなければ体に蓄積されることになります。
また、就寝前に摂り満腹状態になると、ケトン体が分泌されにくくなり効果が半減されるとも言われています。
そのため朝〜夕方までに摂取するようにしましょう。
体を動かす前に摂ると脂肪燃焼効果がアップし、疲れにくくもなります。
一度に大量に摂取しない
体質によって相性があります。
ケトン体が血中に増えすぎてしまい、腹痛や下痢、吐き気や胸やけを引き起こす可能性もあります。
また素早く腸へ辿り着くため、腸内の濃度が濃くなり、消化器官に過大な負担がかかります。
まずは1日1回小さじ1〜、食事とともにもしくは食後に摂るようにしましょう。
乳製品や大豆製品と一緒に飲み、乳化することで胃への刺激を減らすという対策方法もあります。
朝食時に飲むと素早くエネルギーになり午前中から活動的に過ごせます。
多くても1日3回、1回あたり大さじ1杯までにとどめておきましょう。
生食で摂る
加熱すると激しく泡立ったり、発煙が生じる可能性があり大変危険です。
サラダや常温以下の飲み物と一緒に摂取しましょう。
パーム油が入っているものは選ばない
元々パーム油は食べ物に向かない安全性に欠ける油とされてきました。
加えて中鎖脂肪酸はわずか5%。
残りは長鎖脂肪酸です。
安価でも劣悪商品は選ばないように気を付けましょう。
糖尿病治療中の人は医師に相談する
MCTオイルは低血糖の予防が見込めますが、同時にインシュリン抵抗性も改善する(血糖値が下がりにくくなる)ため、糖尿病の方は血糖値に注意する必要性があります。
MCTオイルを取り入れて健康的な日々を
このようにMCTオイルにはさまざまな特徴があります。
今よりも活発な日常を送るためにも、理解を深めた上でMCTオイルを活用してみてください。