γ-アミノ酪酸というアミノ酸の一種であるGABA(Gamma Amino Butyric Acid)。
GABAの作用を一言で表すと、交感神経を鎮めてリラックス状態に導きます。
普段から人間の体内に存在しており、主に脳・脊髄の神経伝達物質として働いています。
しかしGABAはストレスを感じると大量に消費されるため、現代社会では不足しやすいと指摘されているのです。
ちなみに現代人の一日の情報量は江戸時代の人の一生分になるというデータもあるそうで、不安神経症やうつ病などのメンタルな疾患も増え続けています。
ストレスを軽減し、平常心を保つ手助けをしてくれるGABAについてまとめてみました。
是非ご覧ください。
GABA不足で起こる症状とは
先述した通り、現代を生きている人によく見られるのがGABA不足。
実際、GABAが足りていないと以下のようなマイナス要因が現れます。
- 不安、焦りを感じる
- イライラする、情緒不安定
- 寝つきが悪い、不眠
他にも高血圧や中性脂肪の増加に繋がるなど、心身ともに望ましくないことばかりなのです。
GABAの6つの効果
それでは、GABAを補うことによってどのような作用があるのか見ていきましょう。
1,ストレスを和らげる
これが最も代表的な効果です。
交感神経(自律神経の一種)はストレスを受けた時に活性化しやすくなり、心拍・血圧・体温などが上昇する、いわゆる緊張状態に陥ります。
適度な緊張は集中力や思考力を高めるのに有効ですが、過度な状態に陥ると心身に大きなストレスがかかります。
そこでGABAを摂取し、脳の興奮を鎮めると交感神経も落ち着きやすくなるのです。
ストレス状態から解放されやすくなるだけでなく、脳への酸素供給量を増やしてストレスによる脳細胞のダメージも抑えてくれます。
2,リラックス効果
リラックスしているときにはα波という脳波が多く発生しますが、GABAを摂取するとこのα波が増加します。
また神経を抑制するリラックス効果から、更年期障害(40〜60代の女性に起こりやすい症状)にみられる動悸・ほてり・イライラを改善することもわかっています。
3,睡眠の質の改善
GABAは副交感神経を優位に導きます。
副交感神経は興奮状態を抑え心身を休息させるため、睡眠に入りやすい環境を整えてくれます。
そのため就寝前に取り入れると、スムーズな入眠や深い眠りを得やすくなるのです。
また、ノンレム睡眠(夢を見ない睡眠)の時間も増えるため、心拍や体温が下がり身体がゆっくり休められて深い眠りに落ちます。
ノンレム睡眠の時間が長いほどぐっすり眠れるので、その分身体が質の良い休息を得られ疲労の回復が早まります。
睡眠中に疲労が取れることによって朝はスッキリと目覚めやすくなります。
4,血圧上昇の抑制
末梢血管を収縮させて血圧を上昇させるホルモン、ノルアドレナリン。
GABAはノルアドレナリンを抑制し血流の阻害を防ぐため、血圧が上がりにくくなります。
血行が促進されると血管にかかる負荷が小さくなり、酵素の供給を助ける働きもあります。
また、GABAは腎臓を助けて尿の量・回数を増やす作用があり、排尿の際には体内の余分な塩分(ナトリウム)が排出されるため、血圧が上がりにくくなるのです。
更にGABAには正常血圧には影響せず、高血圧にのみ血圧降下作用を発揮することもわかっています。
中性脂肪とは血液中に存在する脂質で、皮下脂肪・内臓脂肪などの原料となります。
GABAを摂取することで代謝を促進することは出来ますが、あくまでもダイエットのサポート役。
減量するには栄養バランスの良い食事・適度な運動を心掛け、補助的にGABAを利用しましょう。
6,加齢とともに減っていく成長ホルモンの分泌を促し美肌を作る
成長ホルモンは骨や筋肉の成長を促す作用があり、代謝を助ける働きもある、生きていく上でかかせないホルモンです。
GABAは肌の古い細胞を排出し、ターンオーバーを促進します。
常に新しい細胞が肌の表面に現れるため、若々しい肌を保ちやすくなります。
他にも皮膚の乾燥を防いで潤いを保つ作用があり、潤いが守られることでハリ・弾力がアップしやすく肌のバリア機能が正常になるため、肌荒れなどが起こりにくくなります。
含有量が多い食品
このように多数のメリットがあるGABA。
では、どのような食品を摂取すると良いのでしょうか。
1,玄米・発芽玄米・大麦などの穀物
特に発芽玄米の含有量は白米や玄米の数倍といわれています。
2,じゃがいも
発芽後のほうがGABAの含有量が多いのですが、芽の部分にはソラニンという毒素が含まれるためしっかり取り除きましょう。
3,さつまいも
さつまいもには、ビタミンC・食物繊維なども含まれています。
実だけでなく、皮にも栄養素が含まれるため皮ごと食べるようにしましょう。
4,山芋
10〜3月の旬の時期に栄養価が高まります。
5,大豆もやし
GABAは水溶性の成分があるため、洗うときはさっと短時間で洗うようにしましょう。
煮汁ごと食べられる汁物や炒め物がおすすめです。
豆が開いてない大豆もやしのほうが質が良いといわれています。
6,ほうれん草
ほうれん草にはビタミンC・鉄なども多く含まれているので、積極的に取り入れていきたい食品です。
7,ケール
ソフトケール(苦味が少なく生食できるもの)は、従来のケールよりもGABAが豊富に含まれています。
8,発酵食品
漬物や味噌、納豆やキムチが当てはまり、腸内環境も整えてくれます。
他にも、ビタミンB6(赤身の肉・魚・にんにく)はタンパク質をアミノ酸に分解するサポートをし、GABAをはじめとする神経伝達物質の合成に働きかけます。
魚に関しては、鮭・アジ・秋刀魚・カツオ・マグロに特に多く含まれています。
また、玄米にはGABAだけでなくビタミンB6も豊富に含まれています。
巷ではチョコレートに含まれているものも見かけますね。
取り入れやすい食品ばかりですので、意識してみてください。
皆様の穏やかな日々が増えますように。