パワーナップという言葉をご存知でしょうか。
コーネル大学の社会心理学者、ジェームス・マースの研究により広がった、12〜15時ぐらいにとる15〜30分ほどの睡眠、つまり短時間の昼寝のことです。
GoogleやNIKEなどの外資系企業で、業務の効率化や集中力アップのために取り入れていることでも有名ですよね。
また、スペインやイタリア、南フランスなどでは、家で昼食をとったあと、2〜3時間昼寝をすることが当たり前で、【シエスタ】と呼ぶそうです。(その後、夜遅くまで活動)
思っている以上に脳は疲労しています。
そんな中でも昼寝は、究極のリラックス習慣なのです。
昼に眠たくなってしまうのは自然な事
午後の会議や授業中にうとうとしてしまったことがある方もいらっしゃると思います。
そもそも眠気は、人の生体リズムに関係しており、午前4時頃と午後2時頃がピークになります。
この時間帯は交通事故で居眠り運転が多い時間帯でもあり、自己防衛のために眠気信号を発信するのです。
つまり、ずっと働き続けると脳細胞がオーバーヒートをしてしまい、身体が休息を求めます。
脳の休憩のためにも、眠ることでストレス源を一時的に完全にシャットアウトし、リフレッシュすることが重要なのです。
眠気が強まると、達成感が脅かされるなどの心理的負担も大きくなります。
眠いのにも関わらず無理に起きているよりは、短時間でも昼寝をとることにより、仕事の能率が上がります。
特に、車で移動する営業マンにはプラスに働きます。
昼寝のメリット
脳や身体の疲労をとるために、昼寝は非常に効果的であることがお分かり頂けたと思いますが、他にも沢山のメリットがあります。
- 集中力の向上
- ストレス軽減
- 記憶力向上
- 作業効率アップ
- 判断ミスや作業ミスを防ぐ
- 心臓疾患や認知症の予防
- 血圧を下げる
- 計算力、記憶力を高め、精神的なやる気が備わる
特に血管障害など、生活習慣病を患っている人には、一層オススメです。
他にも、適度な昼寝をしている人は、していない人に比べてアルツハイマー病になる危険性が3分の1に減ることがわかってきました。
ただし、長い昼寝はかえって確率が高くなってしまいます。
どういうことなのか、詳しくご紹介します。
ノンレム睡眠について
昼寝を行う上で、睡眠の深いノンレム睡眠でのみ目を覚ますことが最も大切です。
カリフォルニア大学バークレー校の神経科学者、マシュー・ウォーカー教授の研究によると、ノンレム睡眠には4つのステージがあることが判明しています。
入眠20分ほどで訪れる、ノンレム睡眠のステージ2までが重要で、脳内に蓄積した「キャッシュ・メモリ」(疲労など)がクリアされる働きがあります。
これは、パソコンやスマホで動きが重くなったブラウザのキャッシュのクリアをすれば動作が軽くなる現象と同じです。
逆に、1時間以上の昼寝をとると、かえって頭がぼーっとしたり、能率が低下してしまうそうです。
現代は、パソコンやスマホからの膨大な量の情報もあり、常にさまざまなことを処理しているため疲れが溜まっています。
脳の疲労を取り、本来の能力を発揮できるようになることが、ノンレム睡眠のステージ2までを上手に取ることであり、現代社会を生きる上で重要となってきます。
効果的な昼寝の方法
それでは、より効果的な昼寝の方法をご紹介します。
- 場所…どこでも可
- 姿勢…机に伏して顎を圧迫したり、片方を向いて首をひねる寝方はダメ。顎の噛み合わせの悪さは、睡眠時無呼吸症候群に繋がり、睡眠の質を下げてしまいます。
- 時間…眠くなる時間に寝るのが理想的だが、目安としては正午〜午後3時頃。30分以上寝てしまうと、ノンレム睡眠のステージ3以降に入る場合があり、目覚めるまでに時間がかかってしまうので注意。
- ストレッチ…目覚めたら、両手で手のひらを合わせて、頭の上でぐーっと伸ばす。立ち位でも座位でも可。深呼吸をしながら30秒ほど行ったあと、肩を大きく5回程、少し早めに回す。
まとめ
なかなか昼寝をする時間がとれない、場所がないという方でも、目を閉じ、外界の情報を遮断するだけでも脳の休息に繋がります。
また、一度寝てしまったあと起きる自信がないという方には、昼寝をする前にコーヒーや緑茶などのカフェインの入ったものを飲むことをオススメします。
20分ほどでカフェインの覚醒作用が効きはじめ、目覚めやすくなり、すっきりするからです。
日々の生活の中に上手に昼寝を組み込んで、充実した1日を送れるようになりましょう。